六月末日に京都造形芸術大学スーザン・ソンタグ追悼シンポジウムがあって、木幡和枝や僕もしゃべったんだけど、坂本龍一と高谷史郎のユニットが短いパフォーマンスをやって、それはなかなか感動的だったよ。アルヴォ・ペルトの「鏡の中の鏡」にさまざまな音を重ねながら、ソンタグのポートレートや引用を配した映像を彩っていく……。  実は、このユニットは、前日に京都の法然院でもライヴをやったわけ。ジョン・ケージ龍安寺エレクトロニカ版って感じかな。梅雨の暮れ方、環境音楽風のミニマルな音響とそれに対応した映像が、カエルの声やししおどしの音、だんだん暗くなっていく庭の光景と、絶妙に照応してたと思う。カエルなんて一定の周波数の音に反応している感じで、だからけっこう意図的な「インタープレイ」ができるわけ。観客が一〇〇人ちょっとしか入れない、とっても贅沢な体験ではあった。  坂本龍一は七月後半から日本ツアーをやるわけだけど、実は大規模なコンサートよりこういうちょっとした実験のほうが好きなんじゃないかな。