[高橋由一][松岡正剛](2)

 本書は、著者が欧州滞在をおえて高橋由一の『花魁』を見たときの違和感をめぐる議論から始まっている。これは本書を構成するうえできわめて重要な役割をはたしている。  高橋由一は絵画を「治術ノ一助」とすべきだと考え、そのためには「洋画ノ奇巧」をこそ日本人が学ぶべきだと確信していた。しかし、その高橋に洋画術を教えた川上冬涯はさっさと自殺した。 第四百九十七夜【0497】2002年03月14日 高階秀爾 『日本近代美術史論』 1980・講談社文庫 1990・講談社学術文庫