■ 作家の賞金の使い方(昭和31年2月版) 石原慎太郎芥川賞) 友人は皆、学生なので記念会の費用は全部、自分持ち。それに使う。 梅崎春生(新潮社賞) ガスストーブにガス設備、茶の間の堀ゴタツ一式に使う。あとは庭の手入れ。 邱永漢直木賞) 電話を引いたので、ちょうどよかった。 幸田文(読売賞) 娘は机を、と。人は原稿用紙を、と。自分は雛、鳩、喪服を買おうと思うが、本当は滝が欲しい。 里見紝(読売賞) 息子からの借金を銀行と同じ利息をつけて返したい。あとは庭師を呼んで庭作り。 三島由紀夫(岸田賞) 近頃、ボディビルで腹が減るので、全部、食費にまわしてしまった。 山本健吉(新潮社賞&読売賞) 吉田健一の勧めで背広を作る予定。妻に真珠の指輪。娘に人形ケース。自分は大日本国語辞典、そして正月に風呂から富士山が見える温泉に家族旅行へ行くのに使った。