呼びつけられたライターも偉かった。たった一人で行った。初めは、一方的に怒鳴られて恐かった。でも、その怒鳴る右翼の人の座ってるソファーに、一冊の本があった。それを見つけた。場違いな本だ。「週刊プロレス」だった。それで、ライターは言った。  「あっ、プロレスが好きなんですか?」その右翼は、「エッ?」と、驚き、「まあな」と言った。「それがどうした。今はそんな話をしてる時じゃないだろう」と右翼は思ったが、ライターは、強引にプロレスの方に話をもってゆく。「私もプロレスは好きなんです。それに空手もやってるんですよ」…と。お互い、好きな話だから、話がはずむ。「抗議」なんて忘れてしまい、すっかり「プロレスファンの二人」として、意気投合し、仲良くなっちゃった。うるわしい話だ。  この時の、ライターは、岩上安身といい、今は超大物のライターになっている。