さん

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http://d.hatena.ne.jp/vato/20040727
佐野眞一『失われた昭和:宮本常一の写真に読む』(平凡社)がすばらしい。岡本太郎の写真よりもはるかに興味深い。宮本の写真に比べると岡本のそれは「いいとこのおぼっちゃん」の匂いがしてしまう。

宮本には俯瞰の視点と見捨てられそうなものをみつける細やかな視点が同居している。ひとつひとつの写真を細部まで見ていたくなる。生涯に10万点以上とられたということだから、そこから選んだ佐野氏の趣味も介在しているのだろうが、それにしてもおもしろい。

日本全体がのっぺりしてしまう前の昭和30年代の残り香を私がかろうじて吸っているからだろうか。よくわからない。確かに言えるのは、写真の一枚一枚からどうしようもないくらいの想像力がかきたてられてしまうということだ。
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