中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』集英社新書

中沢厚は、学生と労働者がとった過激な行動、投石に心を奪われます。この投石は、厚に子供の頃の危険な遊びを思い出させます。そして、探求の結果、民俗学でいう「菖蒲切り」であることをつきとめます。この話を妹の結婚した相手にあたる網野善彦に話すと、網野は中世の飛礫(つぶて)を連想し、それが悪党といわれる人の闘い方であると言います。網野は、その後、飛礫(つぶて)による石戦の歴史の研究を行い、それが人類の原始の野生にまで根を下ろした深いものであるがわかってゆきます。この研究が『蒙古襲来』に実を結んでゆきます。