『コズミック』(清涼院流水)をようやく半分くらい読み終わったところだが、いいじゃない、これ。どうやら原稿用紙にして2500枚あるらしい。 キャラクターもしっかり立ってるし、舞台設定にも矛盾がない。しっかり作りこまれてる気がする。 ところで、これを読んでいると、清涼院流水という人をすごく尊敬してしまいそう。これは流水御大の処女作、つまりこれを書いているとき、御大はまだ「作家」という肩書きは持っていなかったわけで、どうやら、大学の方も全然単位がそろっていなかったらしい。 デビューできたからよかったものの、もしも作家になれなかったら、就職先とかヤバイ。いくら京大だからって、授業も出ずに「ミステリ研究会」になど所属しているような輩を社会が必要とするはずがない。たぶん彼は、いろんなところの記事を読んで総合すると、純粋な芸術家のように思える。つまり、社会性がない。作家になるべくしてなったというか、なれなかったら本当に将来が真っ暗だったんじゃないだろうか。 そんな先行きが見えない状況で、もしかしたらシュレッダーにかけられて水の泡になるかもしれない作品を、書き上げる。それも2500枚も。普通だったら、途中であきらめる。「ああ、俺何やってんだろ。こんなしょうがないことを苦労してやってるよりは、司法試験の勉強とかしたほうがいいんじゃないか」と思って、500枚くらいであきらめる。