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筆者は、行く先々で人に会い、話をする。その執念たるや凄まじい。人間の観察だけで本書が出来上がっている。もし私が旅行に出た時のことを書き残すと、それは時間と光景の記録になる。  私は、人間嫌いであることを広言してはばからない。よって、旅に出る時は大抵一人であるし、旅先で話し相手を求めることもしない。小高い場所に昇って街並みを眺め、博物館に足を運んで人類の足跡を観察する。