綿矢

Q
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/onishi/colum229.htm
2004.03.22
の文章には、「生まれたてのヤギのように(立ち上がる)」とか「滝のように流れ落ちていく(水)」とか「同じ極の磁石が反発しあっているような(二人の距離)」とかというような珍しくもない描写もあるけれど、独自に趣向を凝らそうとした跡の窺われる形容(比喩)が目立つ。
「ポテトチップスを噛み砕いている時のような(きしみ)」
「醤油を瓶ごと頭にこぼしてしまったかのような(前髪)」
プリッツを砕いたような(音)」
「新しく発売された清涼飲料水の名前のよう(な言葉)」
「時間を忘れさせるタイムカプセルのような(部屋)」
「鉄の味のするフォークをなめたときのような(悪寒)」
「使いさしの消しゴムみたいに不恰好(な座り方)」
ヘレン・ケラーが水に触ったときのように(新鮮な冷たさ)」
「プリントの点線部分を鋏で切っていくよう(な分け方)」
「何もない所をじっと見つめている猫のよう(な無表情)」
Unq