井筒俊彦『意識と本質』(岩波文庫)

Q
http://d.hatena.ne.jp/pavlusha/20031007#p1
を読んでいます。いろいろと刺激的な本。今まで西洋哲学に関する本はいろいろ読んでいましたが、本質を分節論で解釈し、フッサール現象学で言う意識の志向性を「分節化」という形で捉えることにより、「色即是空、空即是色」の「空(無)」とはすなわち存在の絶対無分節である、とする論旨は非常に面白いものです。いまいちピンと来なかった般若心経の世界が、初めての前にぱーっと開けたような気分。イスラーム哲学では「フウィーヤ(個別的本質)」と「マーヒーヤ(普遍的本質)」が截然と分かたれているという話も新鮮(私はプラトンのイデア論がいまいちよく判ってなかったのだ)。やっぱり西洋哲学ばかりじゃ栄養が偏るなぁ、と認識を新たにした次第であります。

 まだ前半しか読み終わっていませんが、フッサールサルトルとの参照によって仏教やイスラームの哲学の基本構造がめきめき判ってくるおトクな本。ソシュール構造主義言語学ハイデガーの存在論について入門書程度の知識(つまり私と同じ程度の知識)があれば、非常に判りやすい禅の入門書としても読めます。
Unq